1株純資産の半値での不動産管理会社TOBは安すぎる? 8833 東宝不動産

2018年6月8日

東宝不動産に対して、東宝が2013年1月9日からTOBを仕掛け、完全子会社化しようとしました。TOB価格の算出にあたっては、DCF法(ディスカウントキャッシュフロー)により735円が妥当だとされています。TOBは2013年2月21日に終了し、大株主の応募により成立しました。しかし、東宝不動産は文字通り不動産管理をしている会社で、資産の大部分が不動産です。TOB価格算出にはDCF法ではなく純資産価値を使うべきではないかという意見が、個人投資家や投資ファンドなど少数株主の間で起こっています。実際、TOB自体は成立したものの、少数株主の半分以上がTOBに応募していません。

支配株主である東宝株式会社による 当社普通株式に対する公開買付けの実施及び応募推奨に関する意見表明のお知らせ
http://www.toho-re.co.jp/ir/pdfs/h24_kaijijyouhou01.pdf

なお、東宝不動産が所有する不動産には含み益があり、これは東宝不動産の有価証券報告書にも明記されています。ざっくり計算すると一株当たり純資産は1,500円くらい、路線価など(?)で計算すると2,500円という説もあります。TOB価格は一株当たり純資産の半値かそれ以下ですね。

東宝不動産 有価証券報告書 P59
http://www.kabupro.jp/edp/20120528/S000AW6Q.pdf
東宝不動産の含み益は少なくとも一株1600円
http://blog.livedoor.jp/advantagehigai/archives/65838909.html
東宝不動産の含み資産の分析
http://blog.livedoor.jp/abars/archives/52139168.html
ザイテン五月号に東宝不動産の記事
http://textream.yahoo.co.jp/message/1008833/eljuitf0bbba?comment=1958

帝劇ビル(帝国劇場が中にあるビル)など、希少な不動産もあったりします。

帝劇ワンダーランド ~帝国劇場開場100周年記念読本

企業の価値算定に当たって、会社が継続する事を前提にDCF法を使うのか、資産価値に重きを置いて一株当たり純資産を使うのか。東宝はDCF法での価格を主張しています。一方で、投資ファンドの「プロスペクト・アセット・マネジメント・インク」や一部の少数株主は、純資産価値での価格設定を主張して裁判を起こそうとしています。

裁判には最低1年、長くて数年かかるらしいです。現在のアベノミクス相場を考えると機会損失の費用が大きいと思います。裁判に参戦するメリット・デメリットは以下の通り。

メリット

  • ベストシナリオでは資金が3倍に
  • ワーストシナリオでも735円での強制買い取りのため、損失は限定されている

デメリット

  • 弁護士費用、事務費用、鑑定費用など、色々費用がかかる
  • 数年間の資金の機会損失

オレは機会損失がキツいなぁと思いスルーしましたが、また何か機会があれば参加を検討したいですねー

個人投資家が起こそうとしている訴訟については、山口三尊さんという方がとりまとめのため精力的に動いておられます。山口さんは、カネボウが戦後最安値で公開買い付けをされそうになったとき、不当に安い価格だと主張して裁判を起こして勝訴した方です。その他にも、不適切なTOBやMBOだと思われる事案について裁判を起こしています。個人投資家が集団で裁判を起こす際に代表の立場になったりしても報酬は受け取っておらず、株式市場を健全にするのが動機だという奇特な方です。

「東宝不動産抗議集会」「東宝不動産の不当廉価TOBの弁護士による説明会」の模様を収めた動画がYoutubeで公開されています。

http://www.youtube.com/watch?v=Y_MWihXnb5o

また、Financial Timesで本件が取り上げられていたりします。

Investors challenge Toho subsidiary buyout
http://www.ft.com/intl/cms/s/0/911dcf6a-7b58-11e2-8eb3-00144feabdc0.html#axzz2N6VQH8Uo