中央銀行の役割

[翁邦雄]の日本銀行 (ちくま新書)

日本であれば日本銀行、アメリカ合衆国であればFRBがそれぞれ国の中央銀行とされています。では、中央銀行はどのような役割を果たしているのでしょうか。日銀の役割を大きく3つに分けて理解しておきましょう。

まずは、発券銀行としての役割です。日本で発行されている紙幣は、すべて日本銀行が発行しています。その証拠として、1000円札、2000円札、5000円札、10000円札のいずれにも、「日本銀行券」と記載されています。ちなみに、2000円札は導入直後から使い勝手の悪さや非対応の機械が多いことを理由に評価は高いとはいえず、現在では新規発行が中止されています。とはいえ、現在でも使用することは可能です。

次に、政府の銀行としての役割を取りあげます。日本政府は日々多くのお金を使用して国を運営しています。そのため、銀行が必要になりますが、民間銀行を活用するのではなく、中央銀行にあたる日銀を利用します。

さらに、銀行の銀行という役割も果たしています。民間金融機関は、日銀の当座預金口座を利用して、預け入れや引き出しを行うことができます。銀行が口座を持つことから、「銀行の銀行」という名前が付けられています。

このように、日銀には大きく3つの役割があります。これらの役割と合わせて、民間金融機関が行っているのに日銀が行っていない業務についても知っておきましょう。代表例が、個人や企業の預金預け入れです。個人や企業は都市銀行・地方銀行など様々な金融機関に預金することができます。しかし、日銀に預金できる個人や法人は皆無です。日銀は、銀行の中でも極めて特殊であると理解しておきましょう。

また、日銀では金融政策も行っています。金利を上げ下げすることにより、景気の過度な変動を緩和しています。具体的には、景気が良い時には金利を引き上げて景気過熱を防ぎます。いっぽう、不景気のときには金利を引き下げて景気に刺激を与えます。日本では、不景気の状態が長引いたことなどを背景に、ゼロ金利と呼ばれる極度な金融緩和が長期間継続した状態です。日銀の金融政策にも限界があることがわかります。