貿易自由化とは?

[ワシントン・ポスト取材班, マイケル・クラニッシュ, マーク・フィッシャー, 野中香方子, 池村千秋, 鈴木 恵, 土方奈美]のトランプ (文春e-book)

TPPをはじめ、世界ではさまざまな貿易自由化交渉が行われてきました。トランプ大統領の誕生により、貿易は縮小して行く可能性があります。では、貿易自由化とはいったい何なのでしょうか。

貿易自由化の代表例は、関税の撤廃や引き下げです。安価あるいは高品質な外国産品が輸入されると、国内産業に打撃を与えてしまうことがあります。こうした場合に国内産業を保護する目的で、輸入品に関税と呼ばれる税金を課しています。この関税を引き下げたり、撤廃したりすることによって貿易をより活発化させることが、貿易自由化の狙いの1つです。

関税に関する措置のほかに、規制緩和を行うことで貿易自由化を促進することもあります。単に関税をかけるだけだと、貿易相手国の生産技術の向上によって輸入品の価格そのものが下がった場合、国内に安価な輸入品が多く流通し、国内産業が衰えてしまいます。こうした事態を防ぐため、輸入制限を行うことがあります。輸入できる数量や金額に上限を設けるのが輸入制限です。この輸入制限を緩和、撤廃すると、貿易の自由化が進みます。農産物などでは、国内の需給がひっ迫した際に緊急輸入を行わねばならず、輸入制限の撤廃に追い込まれることがあります。

さらに踏み込んだ議論では、非関税障壁の撤廃が取り上げられます。関税や輸入制限の問題をクリアしたのちでも、輸出相手国での販売ルールが極めて厳しかったり、国際標準に合致していなかったりすれば、輸出をしづらくなります。グローバルスタンダードに合わせた基準に変更するなどして非関税障壁を撤廃することも、貿易自由化を後押しします。

貿易自由化を行うためには、FTA(自由貿易協定)やEPA(経済連携協定)を結ぶ方法があります。FTAやEPAは2国間でも交渉できますが、同一地域にある多くの国で相互に貿易を自由化したほうが、メリットが大きくなります。なぜなら、同一地域の貿易が自由化されれば、分業体制がとりやすくなるからです。地域が一体となって貿易自由化に取り組むことで、当該地域の域外に対する競争力が高まります。このように、貿易自由化は規模が拡大すればするほど、得られるメリットが大きくなっていきます。