鉄道会社が上場するメリットとは―JR九州の例―

[唐池 恒二]の鉄客商売 JR九州大躍進の極意

鉄道会社の中には、上場しているところと、非上場のところがあります。大手私鉄は上場しているのが基本ですが、JR各社は東日本、東海、西日本は上場しているものの、九州、四国、北海道(、と貨物)は非上場でした。

東日本は山手線をはじめ、東京エリアで多くの高収益路線を持っていますので、株主からも問題なく評価されます。東海は在来線については赤字ローカル線を多く抱えている一方で、東海道新幹線というドル箱を背景に、安定した収益を誇っています。JR東海はリニア中央新幹線事業にも取り組んでいることから、さらに収益が安定することが期待されます(建設にかかる巨額に費用は気になりますが)。西日本は、山手線に比べて収益性が劣る大阪環状線、東海道新幹線よりも利用者が少ない山陽新幹線と、やや収益面で不安は抱えてこそいますが、上場したからといって非常に安い株価になるほどではありません。

これらに加えて、2016年にJR九州が上場です。JR九州は「ななつ星」をはじめとする観光特急列車の運転や、東海道・山陽新幹線に直通する九州新幹線など、いくつかの収益源を持っています。しかし、在来線では赤字を抱えているところが多く、熊本地震の被害も受けました。しかし、不動産事業が好調で黒字になることが多く、上場にこぎつけました。

JR九州の上場については、上場済みだったJR3社と比べて収益面で不安が大きく、無理をしなくても、という声がありました。では、鉄道会社が上場するメリットは何があるのでしょうか。

鉄道事業には多くの投資が必要なため、上場によって一気に資金を調達しやすくなることがメリットの1つです。また、自社路線の割引券を株主優待として付与するなどすれば、株価をある程度下支えすることも可能です。さらに、上場したからといってすべての株式が一般の投資家に回るわけではないので、買収されるリスクも限定的です。こうしたメリットを考えると、上場には一定の意義があることがわかります。九州に続いて四国や北海道も上場すれば、といいたいところですが、北海道は赤字ローカル線を多数抱えるほか、車両の老朽化などが問題となっています。北海道新幹線の黒字化にも時間がかかるようです。JR四国はそもそも路線が少なく、不動産事業などに取り組むとしても四国には都市部が少ないこともあって、なかなか株主に支持されるだけの収益を上げることが難しそうですね。