イギリスEU離脱はイギリス経済にどう影響するか

2016年11月19日

週刊ニューズウィーク日本版 「特集:BREXIT 勝者と敗者」〈2016年7/12号〉 [雑誌]

2016年6月末に、イギリス国民投票でイギリスがEUを離脱することに賛成する勢力が勝利しました。この結果を受けて、イギリスはEU離脱に向かうことになります。

イギリスはもともと、共通通貨ユーロを採用しないなど、EU中心国とは一定の距離を置いてきました。とはいえ、ドイツやフランスなどとの貿易で関税がゼロになっている現状を放棄してまでEU離脱を選択したことに対しては、イギリス国内外から驚きの声が上がっています。そして、イギリスが実際にEUを離脱するとなれば、イギリス経済への影響が懸念されます。では、具体的にどのような影響が考えられるのかを見ていきましょう。

まず、イギリス経済は金融業で成り立っているといえます。そして、イギリスがEUから離脱すれば、ヨーロッパ金融の中心としてのロンドンの地位が低下する可能性があります。大陸ヨーロッパ諸国はもちろん、日本やアメリカ合衆国の企業も、イギリスから撤退する可能性があるからです。実際、イギリスから撤退したところで大陸ヨーロッパ側にはドイツという経済がしっかりした先進国が存在します。したがって、イギリス経済は多国籍企業の撤退によって雇用の減少などに苦しめられる可能性があります。

一方、EU離脱がイギリス経済にプラスの影響を与える可能性もあります。というのは、イギリスがEUを離脱するとなれば、イギリスの通貨ポンドが大幅に下落すると考えられます。すでに国民投票の結果が伝えられた直後から、英ポンドは大幅下落しました。自国通貨が下落することをプラスにとらえるか、マイナスとみなすかは見方次第ではありますが、輸出産業を振興することを考えると、自国通貨安はプラスに働きます。イギリスは斜陽経済と言われて以降、金融ビッグバンによって金融業を発展させ、見事な復活を果たしました。ところが、金融業が新興国でも発達してきていることから、いつまでも金融業頼みの経済では成り立ちません。EU離脱を契機に金融業以外の産業が育成できれば、さらに斜陽経済からの脱却が進むのではないでしょうか。今後のイギリス経済の行方を見守りたいと思います。