リニア計画前倒しの意義とは?

2016年11月19日

リニア新幹線 巨大プロジェクトの「真実」 (集英社新書)

リニア新幹線の開業前倒しが検討されています。新幹線はすでに北海道までつながり、今後も九州地方や北陸地方で延伸が進められることになっています。日本の新幹線ネットワークは定時性や安全性に加え、速達性にも優れているといえますが、リニアが開通すればさらに速達性が大幅に上昇することが予想されています。

とはいえ、リニアの開業は名古屋~品川が2027年度、大阪までの全線開業は2045年度が予定されています。東京オリンピックが2020年に開催されることを考えると、はるか先の出来事だといえます。この開業を前倒しすることが検討されているようですが、どのような意義があるのでしょうか。前倒しをするとなるとコストがかさむことを考慮すれば、当初計画通りで問題ないようにも感じます。

新幹線が開通すると、沿線に一定の経済効果が生まれると期待できます。新たな住宅地やホテルの開発のほか、中長期的には観光客の増加の可能性もあります。特に、山梨県や長野県、奈良県などの地方部では、リニア新駅ができることによって東京などとの結びつきが強まることが予想されます。この経済効果は、早く建設が完了したほうが、早期から得ることができます。したがって、経済効果とコスト増加を天秤にかけて、どちらが大きいかによって建設前倒しをするかどうかを判断することができます。

また、リニア新幹線建設は大規模な工事を伴います。政府が積極的に公共事業を行うことに対しては、社会的な批判が強まっています。ところが、リニア新幹線の建設はあくまでもJR東海の工事です。したがって、経済対策の観点から、国が積極的に財政面をはじめとする支援を行うことで、実質的な公共事業の推進を行う可能性があります。日本では低金利状態が続いていることから、JR東海が長期にわたる資金借り入れを行いやすい状況でもあります。こうした状況に、国や沿線自治体からの支援をさらなる追い風としてリニア開通前倒しが進められていくかもしれませんね。