テロと経済

2016年11月19日

ヨーロッパから民主主義が消える 難民・テロ・甦る国境 PHP新書

新興国のみならず、先進諸国でもテロが発生することがあります。テロによって貴重な人命が失われることなどと合わせて、経済に対する悪影響もあります。では、具体的に経済に対してどのような悪影響があるのでしょうか。

まず、国内の視点から見れば、イベントの開催自粛などによって、人々の外出機会が減少する可能性があります。その結果、活発な消費が控えられ、個人消費の落ち込みにつながりかねません。短期的な影響で済めばよいのですが、個人消費の落ち込みが長期化すれば、景気の低迷につながります。イベントの開催自粛が減少し、元通りの開催頻度に近づいてきた場合でも、テロを不安視する国民が多くいれば、イベント1つ当たりの参加者数が減少することが考えられます。

国際的な視点から見れば、海外から観光目的でやってくる訪問客数の減少が懸念されます。ビジネス客であれば、テロが起こったからといって突然出張をゼロにすることができない場合がありえますが、観光をはじめとするプライベートな目的の場合は、訪問をキャンセルしやすいです。したがって、特定の国や地域でテロが発生した場合には、旅行の予定を別の地域へと変更するなどの動きが見られるといえます。その結果、特に観光産業が発達している国では、テロによる観光客数の減少が経済に大きな悪影響を与えてしまいます。

さらに、より長期的な視点では、外国企業の進出が控えられることがあります。テロが発生すれば工場や事業所の操業が一時停止されるなどの影響が出ます。こうした措置を繰り返し行わなければならない国には、進出しようという意欲が小さくなります。

加えて、テロが発生したとのニュースが国際的に伝われば、新たなテロの標的になりやすくなります。テロを防げなかったことが広く明らかになるためです。もちろん、テロが発生した直後はテロに対する警戒がより一層強化されはしますが、テロを発生させてしまったマイナスの実績がある以上、再度テロ攻撃に遭う可能性は否定できません。