原発が地域経済に与える影響

2016年11月19日

いちえふ 福島第一原子力発電所労働記(3) (モーニングコミックス)

原子力発電所は、立地している地域の経済に大きな影響を与えています。

まず、電源立地交付金が支給されることにより、立地自治体の財政に余裕が生まれやすくなります。原子力発電所は都市部から離れたエリアに立地することが多いため、決して地元自治体の財政が豊かとは言い難いところが多くあります。こうした自治体では、交付金を活用して子育て支援をするなどして、人口減少に歯止めをかける方策を行うことをはじめとした取り組みを行っています。

また、原発の作業員として働く人が多く存在します。原発は適正な管理を行わないと大事故につながるリスクがあります。そのため、原発には多くの作業員が勤務しています。原発での作業は危険が伴うため、賃金が他の仕事と比べて高めに設定される傾向があります。地方部では都市部と比べてそもそもの賃金水準が低いことが多い中、原発での仕事は高賃金が得られるチャンスを提供しており、一部の地域住民にとってはありがたい働き口となっています。原発そのもので働く人のほかにも、原発の作業員向けの喫茶店を営む人など、原発があるからこそ仕事が成立しているといえる人が、地元自治体には多くいます。

さらに、原発は熱くなりすぎないように、水を循環させて熱を外に逃がしています。この水が海などに放出されることにより、貴重な漁場が成立している場合があります。

このように、原発立地自治体においては、地域経済が原発と密接に関連しています。そのため、大規模な原発事故が発生し、原発の危険性が指摘されていても、地元自治体としては原発が立地し、稼働し続けてもらわないと困るケースが多くあります。原発に限らず、地方部に都市部では立地が難しい施設を立地させ、恩恵を受けることは地域振興を行う上での1つの方策ではありますが、過度に依存すると、いざその施設が地域に悪影響を及ぼしかねない場合でも、施設を立地させ続けるしかなくなります。地方部の自治体には、目先の利益にとらわれすぎず、将来を見据えた意思決定が必要です。