消費税引き上げにおける軽減税率の役割

2016年11月19日

「消費税の軽減税率」完全解説

消費税は、低所得者の負担感が強い税金だといわれています。そのため、消費税率を引き上げていく段階では、飲食料品など生活に不可欠な品目については、税率を低く抑える軽減税率の導入が検討されています。では、軽減税率とはどのような仕組みなのでしょうか。

軽減税率の導入の仕方には、いくつかのパターンが考えられます。1つ目は、軽減品目を定める方式です。この方式では、富裕層でも軽減税率の恩恵を受けられてしまうことが問題視されています。また、軽減品目に含まれる商品と含まれていない商品を両方販売している小売店などでは、価格表示などで顧客の混乱を招く可能性もあります。

2つ目は、低所得者にカードを持たせて買い物の際に提示させるなどして、低所得者にだけ減税の恩恵が行くようにする方式です。この方式だと、低所得者の負担増加を抑制する意図は達成しやすいものの、小売店の売り上げ管理などで混乱が生じる可能性があります。また、カードを捏造したり、不正に利用したりといった行為が横行することも懸念されます。

軽減税率の導入はいずれの方式をとった場合でも、手間がかかってしまうことは否めません。そのため、軽減税率を導入するくらいなら、低所得者向けの給付を行ったほうが良いのではないかとの意見もあります。ただ、給付の際にも、各地方自治体などでの給付手続きに人員を割かなければならないなどして、コストがかかってしまいます。消費増税に対応する新たな給付よりも、既存の社会保障制度の枠組みを改変するなどして対応できれば、コスト抑制につながると考えられます。

また、消費増税は日本の財政再建を進めるために行われています。そのため、軽減税率の導入によって税収が減少すれば、財政再建が遅れ、日本全体にとって望ましくないという考え方があります。この考え方にのっとれば、軽減税率を導入することで発生する事務コストなどがムダだという意見に一理あるといえます。

国は、国民への負担感を軽減しつつ、一定の税収を確保するという難しい期待を背負っています。方式に関わらず、国民にとって真の利益につながるような形になることが望まれます。