戦争が経済に与える影響

2016年11月19日

経済で読み解く 大東亜戦争 ~「ジオ・エコノミクス」で日米の開戦動機を解明する~ (ワニの本)

戦争が発生すると、経済にはどのような影響があるのでしょうか。

長期的にみれば、爆撃によって工業地域が打撃を受けるなどして、経済にはマイナスの影響があるように思えます。その一方で、短期的にみれば、軍需産業の急発達などを通じて、経済に良い影響がもたらされる場合もあります。プラス・マイナスの影響をそれぞれ整理してみましょう。

戦争が経済にプラスの影響を与えた例としては、第2次世界大戦後に発生した朝鮮戦争があります。朝鮮戦争の勃発に伴って武器の需要が急拡大したため、戦後疲弊していた日本経済は「朝鮮特需」を経験しました。この特需は、日本の戦後復興を推し進める働きをしました。戦後復興が速やかに進んだことで、日本が高度経済成長を達成し、アメリカなどと並ぶ主要先進国となるきっかけが作られたのです。

ただ、朝鮮戦争の例で日本が特需の恩恵を享受できたのは、戦闘が行われた地域が日本ではなかったからです。いくら軍需産業が発達するといっても、自国の領土で戦闘が行われれば、爆撃などによる打撃を受け、工業生産額が落ち込むなどのマイナスの影響が出る可能性が十分あります。こうなると、短期的なマイナスの影響が出る可能性もあります。

短期的にみればマイナスとなりがちな爆撃の影響なども、戦争終結後は、復興需要の高まりによって経済を浮揚させる効果が期待できます。インフラが破壊されるなどした場合には、半ば強制的に公共事業を行わずにはいられないからです。公共事業の実施は、「バラマキだ」などとして批判されることがありますが、一定の雇用創出効果などがあることは確かです。とはいえ、復興需要はいつまでも続くわけではないので、過度な依存は禁物だといえます。

このように、戦争による特需はあくまでも「特別な」需要なので、経済のカンフル剤ととらえる必要があります。カンフル剤はそう何度も効果を発揮するものではない上、戦争は好ましいとは言えない行為なので、戦争なくしても発展できる経済を各国が構築することが期待されます。