ツーリズム産業とは

2016年11月19日

大前研一ビジネスジャーナル No.9(世界のリゾート&ツーリズム徹底研究~インバウンド時代の観光産業を生み出す仕掛け~) (大前研一books(NextPublishing))

日本を含めた先進諸国の中には、今後人口減少が見込まれている国があります。こうした国々では、外国から人を呼び込むことにより、経済が衰退するのを防ぐことができます。外国人を呼び寄せる産業の代表が、ツーリズム産業です。

ツーリズム産業では、外国人が観光しやすい環境の整備が必要です。具体的には、外国語での案内表示板の設置・増設や、わかりやすい交通機関の利用案内などが必要になります。日本を例にとると、英語圏からの観光客よりも、韓国や中国といった東アジア地域からの観光客が多いです。これらの観光客の中には、日本語と英語のいずれも理解できない人がいます。そのため、観光客が多い地域では英語のみならず、中国語や韓国語での対応も必要になっています。

環境整備は外国人観光客の不満を解消するうえでは有益です。しかし、不満がないだけでは外国人観光客数を増やすことは難しいです。中国語の案内表示板が多いからといって来日する中国人はほぼいないといってよいからです。外国人観光客に満足してもらうためには、自国独自の魅力を生かすことが不可欠です。日本であれば、豊かな自然環境や深みのある文化を世界に売り込むことができれば外国人観光客の誘致に対して有効だと考えられます。実際、日本へは東南アジアをはじめとする雪の降らない地域から北海道などのスキーリゾートを訪れる人の数が増加しています。また、京都など古くからの伝統文化が残っている地域では、伝統文化を体験するツアーなどが外国人観光客の人気を集めています。こうした取り組みを拡大させることで、単に不満を解消するだけではなく、満足度を高めて繰り返し日本を訪れてもらえる可能性を高めていくことが期待できます。

さらに、国内のツアーの幅を広げるのみならず、積極的に発信することも大切です。インターネットが普及している地域が広がってきていることから、従来よりも手軽に世界各地に情報を発信できる時代になっています。そのため、デジタル媒体を積極活用しながら、観光情報を国外にアピールしていくことがツーリズム産業の発展に役立ちます。