マイナンバー制度と課税

2016年11月19日

これでわかる!マイナンバー―週刊東洋経済eビジネス新書No.147

日本では、年金や健康保険、税など、様々な社会保障関連の手続きがバラバラに行われてきました。一部で情報の共有などの効率化が見られましたが、根本的な効率化・一元化はできていませんでした。国民の側からすると不便であり、行政の側からすればコストがかかってしまうという点が問題でした。ところが、マイナンバー制度の導入により、一元的に社会保障関連の手続きを行えるようになりました。では、このマイナンバー制度は、そもそもどのような目的で導入されたのでしょうか。

マイナンバー制度は、所得を捕捉しやすくなるという特徴を備えています。これまでも、サラリーマンなどの給与所得者の所得は比較的把握しやすかったのですが、自営業者など、会社に勤めていない人の所得を適切に把握することは困難でした。というのも、給与所得者であれば、会社が税額を計算し、源泉徴収や年末調整を行うことから、所得をサラリーマンが偽ることは困難なのに対して、自営業者は自らが確定申告において所得を申告するため、自分がうまく隠しさえすれば脱税が成立するからです。ところが、マイナンバー制度の導入によって、自営業者などの所得もマイナンバーを利用して捕捉しやすくなりました。その結果、脱税などの違法行為を摘発しやすい環境が整ったといえます。また、違法行為の摘発に至る以前に、所得を隠してもバレるという意識が高まれば、適正な確定申告を行う人の割合が高まることが期待されます。

また、マイナンバー制度は今後の発展の可能性を多く秘めています。導入当初は、社会保障や防災関連に使用目的が限定されていますが、将来的には銀行口座と結び付けるなどして、国民の資産の把握にも活用される可能性があります。こうした場合には、財産を保有しているだけで課税される「財産課税」が行われるようになるかもしれません。現在でも、比較的貯蓄額の多い高齢者世代から、若年層への財産移転が推進されています。マイナンバーをうまく活用できれば、財産移転の促進にもつながるといえます。