人口増減が経済成長に与える影響

2016年11月19日

ヒトはこうして増えてきた: 20万年の人口変遷史 (新潮選書)

経済成長は、人口の増減と深いかかわりがあります。実際、高度経済成長期の日本では、人口が大幅に増加していました。その後、安定成長から低成長へと移行する段階では、日本の人口は停滞から減少へと変化しました。中国でも、人口の爆発的な増加と、10%前後の高い経済成長率が同時期に実現されていました。中国では1人っ子政策の下、人口抑制政策をとったため、経済成長率を押し下げてしまったとの見方もあるくらいです。

もちろん、人口が増えさえすれば経済成長率が高まり、人口が減れば必ず経済成長率が下がるというわけではありません。しかし、人口が多ければ多いほど、消費を行う人口が多いといえ、資金の循環が活発になることが期待されます。また、人口が増加している時期には、若年層が多いことから、資金が積極的に消費に振り向けられることが想定されます。年金くらいしか収入がなくなってしまう人の多い老年人口が多くなると、どうしても消費に回るお金が少なくなり、貯蓄に回される割合が高くなるからです。

ここから、経済成長率を高める1つの方策として、人口を増加させる方法が考えられます。しかし、子育て政策を充実させたからといって、すぐに人口が増加するわけではありません。長期的な視点で見れば、教育機関の充実などの子育て支援は効果を発揮する可能性があるのですが、短期的には、別の方法をとる必要があります。

短期的に人口増加効果を得るためには、外国人観光客の誘致を行う方法があります。もちろん、移民を積極的に受け入れても良いのですが、文化や言語の違いなどの課題が、日々生活するとなると大きな問題となってしまうことがあります。その一方で、観光客を呼び込むことは、ある程度の言語対応などがあれば可能です。居住地は国外であっても、国内で活発な消費を行ってもらえれば、経済成長につながる人口として実質的にカウントすることができます。観光産業の振興に当たっては、人口増加効果による経済成長率の上乗せについても意識することが望ましいといえます。