夢の量子電池は幻か、それとも…? 6871 マイクロニクス

2015年11月8日

バテナイスとは?

マイクロニクスはプローブカードやウェハーと呼ばれる半導体関連の製造及び販売を行う、東証JASDAQ上場の銘柄です。しかし同社への投資を考える際にはもっと別の重要な要素があります。それが「バテナイス」と命名された量子電池のことです。

量子電池と言われてもピンとくる方のほうが少ないと思いますので説明させて頂きますと、これは紙のようにペラペラのシートが電池になっており、充電及び放電ができるというものです。しかもその性能は、スーパーやコンビニでも買える一般的な電池(若い方は電池というものに触れる機会自体が少なくなったと思いますが…)を遥かに凌駕する高性能を目標値としています。つまり小型化、形状の自由化、高性能化を同時に果たす、夢のような新電池なのです。

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噂で買って事実で売れ

グエラテクノロジー株式会社(半導体、ガラス等の新製品開発を行う会社)と共同で、この量子電池の基礎技術開発に成功したと発表されたのが2013年11月中旬。さらに2014年2月に開催される電池展でサンプルを公開予定、期中には企業へのサンプル出荷予定と発表されると、マイクロニクスの大相場が幕を開けました。

株価というものはよく「噂で買って事実で売れ」と言われるように、とにかく何か材料があると思惑が先行して急上昇するものです。それでも多くの銘柄はテクニカル的に警戒感が漂うと落ち着いたり、急落したりするのですが、マイクロニクスに関しては思惑の次元が違ったと言わざるを得ません。

「電気自動車やスマートフォンへの搭載…?」

「いやいや、電池業界自体が塗り替わってしまうのではないか…?」

その思惑と期待感は止まるところを知らず、それまでは500円~700円程度だった株価が、3カ月後には最高値13870円を記録しました。
わずか3カ月で株価およそ20倍、とても正気の沙汰とは思えないような値動きです。

そして向かえた2014年2月26日、この日は電池展にて量子電池「バテナイス」のサンプルが公開される日でした。26日、電池展にてバテナイスのサンプルが実際に公開されると…前日につけた最高値近辺で推移していた株価は一気に急落を始めました。公開されたサンプルは目標に程遠い性能であると見られ、文字通り「噂で買われて事実で売られてしまった」のです。この時は噂買いが凄すぎたために事実売りの勢いも半端ではなく、3カ月で急騰した株価はおよそ2カ月で13870円→2800円程度まで大暴落してしまいました。

その後は再びバテナイスの思惑含みで乱高下を繰り返しましたが、会社側からの開発進捗状況や提携企業の発表などはほとんど行われず、バテナイスに関しては半信半疑の相場が長く続くことになります。

夢の量子電池、そして伝説へ…

マイクロニクスという銘柄が忘れかけられていた2015年6月24日、同社から一つのIRが発表されました。バテナイスの現段階での性能公表と、グエラテクノロジー社との技術提携解消というものでした。グエラテクノロジー社との提携解消も驚きですが、公表された性能が悪い意味の衝撃的で、まだまだ製品化など考えられそうにないレベルの性能と問題点が記述されていたのです。

この発表の翌日には大量の売り注文が殺到、場中には寄らずのストップ安となりました。その後も暴落の一途を辿るだろうという意見もありましたが、発表前に株価水準が既に安くなっていたこともあり大暴落とはならず、とりあえずは5日移動平均に上を抑えられがちに比較的ゆるやかな値動きをするようになりました。この段階でテクニカル的には売りも一巡と見られ、ある程度の買いも入るようになりました。

しかしバテナイスに冷や水が浴びせられた今の値動きは非常に重く、短い時間足のチャートを見ても陰線の強さが目立つことが多く、市場心理としては上値を追わずに下値を拾うかどうかというところでしょうか。テクニカル的には面白いのですが、ファンダメンタルズ的には厳しいという、悩ましい局面にあると言えます。ちなみにこのバテナイスに関しては、グエラテクノロジー社との提携解消後に複数の大学と研究開発を進め、17年9月期までに開発の目途をつけるとも発表されています。

マイクロニクス マイナス バテナイス = ???

最後に誤解がないよう一つだけ付け加えておきたいことがあります。マイクロニクス社はバテナイスに全てを賭けているベンチャー企業ではなく、本業の半導体関連事業に関しては好調な会社だということです。7月16日には、第3四半期の営業益が前年同月比7割増と発表されたほどです。それでも同社を語る上でバテナイスのことは外せませんので、株価には本業よりもむしろバテナイス動向が影響を与えると考えることに変わりはありませんが。

夢の量子電池とまで言われた「バテナイス」ですが、その行き着く先は未だに見えてきません。