金融緩和ってなに?

2015年11月8日

“交易廣場 Exchange Square” / 香港中環金融建築之形 Hong Kong Central Financial Architecture Forms / SML.20130326.7D.36611.BW

リーマンショック後、アメリカ・日本・ヨーロッパなど、世界各地で金融緩和が行われました。この金融緩和とはいったいどのようなものなのでしょうか。

 まず、金融緩和の代表例は、金利を下げることです。金利が下がれば、お金を借りやすくなる一方で、お金を預けていてももらえる利息が少なくなるので、お金を使うインセンティヴがはたらきます。こうなることで、お金の流れが停滞している状況を改善することを狙っているのが、金融緩和です。

 また、金融緩和には、金利を引き下げるほか、そもそも中央銀行が市場に流通する貨幣量を増加させる方法もあります。いわゆる量的緩和と呼ばれている手法がこれにあたります。日本での量的緩和を例にとると、中央銀行である日銀が国債を買い入れることで、国債の購入費用にあたる貨幣を市場に流通させました。

 このように、金融緩和は市場に流通する貨幣量を増やすはたらきをします。そのため、お金の価値が下がる(=インフレになる)ということが期待できるのです。お金の価値が下がると、同じモノやサービスを購入するのにより多くの金額が必要になるからです。ところが、日本では大規模な金融緩和政策を行っていたにもかかわらず、なかなかデフレ状態から脱却できませんでした。いったいどうしてデフレが続いたのでしょうか。

 金融緩和の中でも量的緩和は、市場に直接的に資金を流入させる方策です。そのため、いったんは市場の資金量が増加します。しかし、市場で資金を獲得しても、適切な投資先が見当たらない経済主体が多かったのです。リーマンショックに伴う企業業績の悪化は深刻で、お金に多少の余裕が生まれてきても、積極的に投資に振り向けようという企業があまり出てこなかったため、いったん市場に流入した資金は、内部留保などとなって、再び市場の流通ルートから外れてしまいました。結果として、インフレにつながらず、デフレ状態が継続してしまったのです。

 黒田日銀総裁になってからは、インフレにはなかなかなっていないものの、デフレ状態は改善されつつあります。これは、アメリカ経済が回復基調にあることや、企業のマインドが改善し、投資を行う意欲が高まっていることが背景にあります。従来は単に金利を引き下げるだけで良かった金融緩和は、量的緩和、質的緩和などと次第に高度化していっているのです。時代が進めば、さらに高度な金融緩和を行う必要が出てくるかもしれませんね。

写真:“交易廣場 Exchange Square” / 香港中環金融建築之形 Hong Kong Central Financial Architecture Forms / SML.20130326.7D.36611.BW / See-ming Lee 李思明 SML