株式益回りとリスクフリーレートで、株価が割高かどうかを判断する

2015年11月8日

株価は2012年末から大きく上昇しました。相場が過熱してきているとか、プチバブルだとか、株に興味を持つ人が増えてきたから天井だとか、色々なことが言われていますよね。そこで、東証1部全体の株価水準は果たして割高なのか、割安なのかについて考えたことを書きます。今の株価水準は決して割高ではないというのが、現時点での俺の判断です。


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株価水準の判断方法

株価水準の判断方法は、特に決定版的なものがありません。まぁ、そんなものがあればみんな同じ方法を使うので、意味が無くなってしまうわけですけど。マーケット参加者は、それぞれ色々な指標や数値を見てジャッジしているはずです。私は、予想PERの逆数である益回りとリスクフリーレートの差を市場リスクプレミアム(マーケットリスクプレミアム)とし、その数値で割安かどうかを判断しています。

ここでは、山崎元さんの記事に従ってDCF法で計算します。DCF法とは、将来利益の現在価値を求める方法で、企業価値算定に利用されたり、マーケット全体の株価の強弱について語る文脈で使われたりします。

第191回 山崎式「株価の高低判断法」
https://www.rakuten-sec.co.jp/web/market/opinion/yamazaki/yamazaki_20130222.html
第60号 日本株は割安か?(前編)
http://www.daiwasbi.co.jp/column/strategist/60/index02.html

リスクプレミアムとは、投資家が株式にお金を出すときに追加で要求する利益のことです。株式は値動きが大きくリスクが高いため、その分儲けが大きくないと投資家は投資しません。リスクプレミアムが低い=得られる利回りが低くても株式を欲しがっている人が多い状態です。逆に、リスクプレミアムが高い=得られる利回りが高くても株式を欲しがっている人が少ない状態です。前者はリスクオン、後者はリスクオフですね。

東証1部の株式リスクプレミアムを計算してみる

それでは、実際に株式リスクプレミアムを計算してみます。リスクプレミアムを計算するために、東証1部の予想PER、リスクフリーレート=日本国債10年物利回り、政府発表の予想名目成長率をデータとして集めます。

モーニングスター [ 東証1部業種別データ > TOPIX > 東証一部 ]
http://www.morningstar.co.jp/RankingWeb/SectorPart.do?sectorCode=0000
日本相互証券株式会社
http://www.bb.jbts.co.jp/marketdata/main_rate.php
2013年度経済見通し
http://news.mynavi.jp/news/2013/01/29/135/index.html

グラフにすると以下のようになりました。

株式の益回りは6.3%から4.9%まで落ちてきています。昨年末からの株価上昇により、株式を買ったときに得られる利益のが減り、利回りも落ちてきているということですね。一方で、日本国債10年物の利回りも落ちてきています。これはアベノミクスによる金融緩和の強化が原因らしいです。国による国債買い入れなどが新日銀総裁によって大規模に行われることで国債価格上昇が期待できるため、先回りして銀行などが国債を買っているという背景のようです。ここら辺は良くわかりませんが。株価は騰がっていてもリスクフリーレートが下がっているため、リスクプレミアムは7%くらいで少し下げ渋っています。

長期金利:9年8カ月ぶり低水準 金融緩和を期待
http://mainichi.jp/select/news/20130302k0000m020094000c.html

リスクプレミアムで株価水準を考える

株式のリスクプレミアムは現在7%です。それでは、このリスクプレミアムは果たして高いのか低いのか。これも国や見方によって様々な見方があります。

まず、上述の山崎元さんは、以下のような判断基準を持っておられるようです。

  1. 7%以上あれば株価は安い
  2. 6%程度なら普通
  3. 5%以下なら株価は高い

この基準で行くと、現在の株価はまだ割安です。

次に、2003年の資料ですが、投資コンサルティングのイボットソン・アソシエイツ・ジャパン株式会社の資料を読んでみます。日本株式のヒストリカルなリスクプレミアムは7%。世界の過去のリスクプレミアムは、価格変動リスク(ボラティリティ)が大きいほど高く、ざっくり4〜10%くらい。リーマンショックとユーロ危機がある程度落ち着いてVIX指数が徐々に下がりつつある今、リスクプレミアムも世界的に下がって来ているはずです。4〜10%の真ん中を取ると7%。リスクプレミアムはだいたい平均的な水準という感じでしょうか。

株式リスク・プレミアム論争をめぐる論点整理
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2003/01/dl/s0129-5a.pdf

今の東証1部は、少なくとも、リスクプレミアムが極端に低くなっているわけでは無さそうです。もちろん、世界が不安定になればリスクオフ、リスクプレミアム上昇、株価下落になります。しかし、イタリア政局不安のようなことが起きなければ、アメリカ景気回復、日本デフレ脱却へ向けて、まだ株価上昇の余地はあると考えています。