株式投資で考えるべきリスク(5)流動性リスクとは

2015年11月12日

流動性リスクとは、ポジションを手仕舞いしたいのに出来ないリスク、もしくは手仕舞いをするために大きなコストが必要になるリスクを指します。株式市場での知名度が低く、一日の出来高が非常に少ないような銘柄は流動性リスクが高いです。

例えば、株式市場が下落し始めたので、流動性が低い銘柄の買いポジションを閉じたくなったとします。しかし、そのポジションが一日の出来高に比べて大きすぎる場合、買ってくれる人が少なくて売れません。ロングポジションを10万株抱えているとして、株式市場に買い注文が5万株しか出ていない無い場合、ストップ安になっても買いポジションを閉じられないことになります。数日に分けて少しずつ手仕舞いしなければなりません。

株式を、流動性リスクが高い順に並べてみると次のような感じです。

  • 1)非上場企業の株式
  • 2)上場企業で、一日に出来高がゼロな日があったりする株式
  • 3)上場企業で、一日の売買代金が自分のポジションより少ない株式
  • 4)上場企業で、一日の売買代金が自分のポジションより多い株式
  • 5)東証一部で、売買代金が数億以上ある株式

非上場企業の株式

流動性リスクが一番高いのは、1)非上場企業の株式です。まず、上場していないので、売り買いする相手を見つけるのが大変です。相手が見つかったとして、株価がいくらになのかわかりません。株価がいくらなのかを、両者が合意できるような方法で評価する必要があります。非上場企業への投資は、上場企業への投資に比べて覚悟が必要です。

出来高ゼロの日が頻繁にあるような上場企業

次に流動性リスクが高いのは、2)出来高ゼロの日が頻繁にあるような上場企業です。こういう銘柄の売買注文は、売りと買いの値段が極端に離れていることが多くあります。例えば、調剤薬局のメディカル一光 [3353] は8/9の出来高200株、売買代金57万円。ちなみにトヨタ自動車は8/9の出来高936万株、売買代金580億です。規模感が全く違います。

流動性がそこそこある上場企業

流動性がそこそこある銘柄の場合は、自分の抱えるポジションに対して売買代金が多いか少ないかがリスクの判断基準になります。3)4)です。もし、自分の突っ込むつもりの資金に比べて売買代金が少ない銘柄をロングしたい場合、より高い値段で株式を買い、より低い値段で株式を売ることになります。自分の買いたい・売りたいという需要が大きいので、株価に与えるインパクトが強くなるわけです。これは、上方修正を発表してストップ高になる仕組みと同じです。買いの需要が大きすぎて、売り注文が足りなくなるとストップ高になります。流動性の低い銘柄では、自分の買い注文が大きすぎてストップ高になったりする可能性があるわけです。ちなみに、俺がよくロングする株式は4)ですね。3)は怖くて触れないです。

巨大な上場企業

5)はトヨタとか三井住友銀行とか巨大な企業です。自分のポジションに対して売買代金がはるかに多いので、自分の売買が市場に与える影響が小さくなります。株式市場での流動性リスクは最低レベルです。

金融機関の市場リスク・流動性リスク管理態勢 (金融検査マニュアルハンドブックシリーズ)

番外編:FXの流動性リスク

番外編として、メジャー通貨のFX取引があります。流動性リスクは、株式に比べて通貨の方が低いです。取引高がどれくらいなのかググってみました。チョット古いデータで恐縮ですが、2010年の取引の1日あたり換算で、ドル円の取引高は 5680億ドル = 57兆円 らしいです。自分の取引なんて微々たるものですね。ストップ安で売れないなんてことはほぼありません。もしあるとしたら、1997年のアジア通貨危機など歴史に残るような大規模現象になるはずです。

FX取引の実態調査。店頭FX取引の円相場へ与える影響や通貨ペアシェア
http://www.fx-4you.com/fx-trade/worldwide_fx.html

流動性リスクへの対応・対策

ライブドアショックやリーマンショックでは、株式を売ろうとしてもストップ安に張り付いていて売れないということがありました。マーケットに強いインパクトのあるイベントが発生すると、身動きが取れなくなる可能性があります。需要と供給が大きく崩れて、売買が成立しなくなる。そんなことを頭の片隅に入れつつポジションを取りましょう。

流動性リスクを取りに行くのか回避するのかは、それぞれの投機スタンスで決まるはずです。